ゾウのように歩く
先日、美容院へ行ってきた。
近所の美容院。
小さい頃から、当たり前のように、車や自転車で行っていたけれど、
今日は歩いて行こう。
ゆっくり。ゆっくり。
足の裏が、アスファルトに、触れては、離れ、触れては、離れ。
その感覚を、ただ感じる。
そこに意識を向けていると、頭でウジウジ考えていたことなんて溶けて消えてしまう。
でも足が二つあるからね。
触れたと思ったら、片足は離れてるし、あまり速くあるくと混乱しちゃう。
だから、ゆっくり、ゆーーーーーっくり。
すると、心地のいいスピードがどのくらいか分かってくる。
心地のいい、スピード。
私の場合は、のっしり大地を踏みしめるゾウがイメージの1つ。
触れては、離れ、触れては、離れ。
すると私の何かが叫びだす。
「えっ、どうしよう!?...心地いいスピードで歩くと、今にも止まりそうやで⁉ いやいや遅すぎるよ...。人通りは少ないけど、車からこっちを見られるとき、なんか好奇の目で見られそうやし...。いやや、遅すぎる」。
焦りがあふれ出し、息を浅くする。フゥ、フゥ、フゥ、フゥ、フゥ(鼻息)。
その日は結局、心地いいスピードよりもちょっと速いくらいで歩いて向かった。
心地いいところからの、ブワァァァァァァァッと突然胸を襲う焦りの粒たち。
心地よく歩けなくて、落ち込んだけれど、
ジェットコースターが急加速するときみたいで、スリルがあって面白い。
もちろん、今度は、
今にも止まりそうなスピードに
トライしてみることにする。